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●京刃物

 わが国で鉄器が利用されるようになったのは弥生時代のことと伝えられ、その昔、鉄は木や骨、そして石よりも丈夫で便利であるということから、狩や農耕、さらには武器として多く利用されたものと考えられる。

 ところで、日本に刃物らしきものが伝わったのは 4 世紀であるが、それは刃物というより刀剣といった方が適しているだろう。この刀剣については『古事記』や『日本書紀』などにも記されている。

 やがて時代が下り、平安時代の始まりとともに文化も大いに進み、刃物の世界においても三条宗近を筆頭に、吉家、五条兼永、国永、そして鎌倉時代には千代鶴国安など、すぐれた刀工が出てきて、その技術を全国に伝えた。

 時代の推移とともに、人々の日常生活に欠くことのできない刃物類も数多く造られるようになり、やがて刀鍛冶・農鍛冶・刃物鍛冶と大きく三分され、さらに需要に応じて細かく専門化されてゆく。

 京都はもともと都であったがための地の利と、出雲地方の砂鉄や玉鋼、伏見稲荷周辺の土、鳴滝の砥石、丹波地方の松炭、さらには良質の水などが容易に入手できるという刃物造りに適した条件を備えていた。それゆえに、室町時代中期頃より鍛冶の町として栄え、以後明治の初め頃まで、刃物の一大産地として全国に知られた。

 

今日、全国の刃物産地の技術は、その大半が京都より伝わったといわれている。また、京都の伝統残業である西陣織・扇子・竹工芸・木工芸・仏像仏具・造園・建築・料理・畳・瓦、そして華道などあらゆる分野において、刃物は陰の力としてその発展を支え、今日に至っている。

 日本人には、古くから刃物には魂が込められていると考える風潮があり、特別の愛着をもってきた。その魂とは、製作した人の心であり、また使用する人の心でもあるといえるであろう。たとえば料理人にとって、包丁は単に使用するだけのもの以上の意味あいが秘められているといえる。

 現在京刃物は、包丁・鋏・鋸・ナタ・鎌・彫刻刀など、日常で使われる物から専門職の道具まで、多種多様に製作されており、その質の高さと使いやすさには定評がある。それらのひとつひとつが歴史に培われた伝統産業製品には違いないが、その伝統とは技術のみならず、魂の伝統でもある。

 なお、京刃物は京都府知事から「京都府伝統工芸品」の指定を受けている。

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